2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

過去と和解すること

河原で拾った、まあるい石持ってどこ行くの。 メタセコイアの下で待ち合わせしよう、夕焼けが校庭を照らしてる。 うちに帰ればカレーのにおい、お母さんが待ってるよ。 お墓の前で唱える言葉、涼しい日陰、木々の揺れる音、お父さんがチャンネルを変えたがっ…

『往復書簡 初恋と不倫』、偶然と必然のあいだ

ガラス窓のこちら側から他人行儀に見ていたはずなのに、そして身に覚えもないのに、キリキリと胸の奥が痛い。 もうとっくに忘れてしまった記憶を、忘れたままに引っ掻かれたみたいにかゆくて痛い。 でも不思議と、その痛みは大切に抱いていたいと思えた。 坂…

『ていだん』と小林聡美ブーム

先日本屋で真っ赤な装幀が目に留まって、女優の小林聡美さんの『ていだん』という本を買った。 小林聡美さんは映画『かもめ食堂』に出演していたり、テレビだと、彼女がおいしそうなサンドイッチやイングリッシュマフィンを作って、それにつられて熊やこども…

口と夜

肝要な事を口にすれば負け。僕はさっきから、下手な芝居を打っている。どうとでも取れるような言葉を並べて、本当の事は夜に隠して。明かりを消して、何も見えなくする。その両の目は飾りだから、月が隠れたとき見開かれるものが本物。おそらくは、二人のあ…

歩道橋 / うねる海 / おんなじだな

歩道橋 飴玉みたいな夕暮れ時の太陽が、雲の谷間に転がり落ちてゆく。 手を振っている間に見えなくなったから、乾いた空気が夜の気分を連れてきた。 街のどこかで鳴いている、寂しがりやはないものねだりしている。 たくさん触れておけばよかったって、思っ…

無意味なことこそ大切

音楽をよく聴いている。 歩きながら、ご飯を作りながら、洗濯物をたたみながら、友人を待ちながら。 自分としてはそれが普通だと思っていたから、このあいだ友人に「本当に音楽好きなんだね」と言われて、「あ、これってスタンダードじゃないんだ」とようや…