2023-01-01から1年間の記事一覧
大事なのは群れないことではない。 群れから距離をとること。 群れは体制、組織。ぼくは適応しやすいから、体制に簡単に取りこまれてしまうだろう。 簡単に人を殺す人間になるだろう。 人間は群れの中で、簡単に “群れ” そのものに変わってしまうから。 連帯…
手首から花びらが滴っている。はらはらと落ちる。黒い沼がそこにぽっかりと口をあける。手首から花が落ち続け、沼は黒いままあり続け、建築現場の上部には骨組みに囲われた月がぽっかりと夜空に穴を穿つように浮かんでいた。満月。やつがリズムを握っている…
いつものファミレスで小説を書いていて、ひと息つこうと思って携帯を見ていたら「優しくて正しい」主張を読んでしまって心がぐちゃぐちゃに傷ついてしまった。なんでだろう、お金払った文章に傷ついたことは一度たりともないのに無料で読める文章で傷ついて…
赤い砂でつくったみたいな月の玉が、脆くも半分ほど崩れかかった。湿ったぬるい六月の夜は海の底だ。Tempalayを爆音でイヤフォンから流しながら、跳ねるように歩いて帰る。低層マンションのレースカーテン越しの光が、濃い赤と、落ち着いたオレンジ、白色と…
ゲイバーで知り合った男と寝た。体と手の大きな、優しくて声のよく通る、朗らかな男だった。 土曜日のゲイバーはカラオケで騒いでいる人々が多くてとてもうるさかった。キンミヤを少しの緑茶で割ってべろべろに酔っ払っていた。隣の卓に座っていたから会話が…
熊本に着いて、空港の外に出ると気持ちのよい風が吹いていた。陽射しの強さに反して涼しさすら感じる。 シャトルバスで市内へ向かいながら植物の多さに感心した。生えている木はどれも力強く、茂った葉を風に揺らし、そのひとつひとつに光が反射してさざめく…
2023/4/7(金)東京 深夜 乗り換え駅で停車している電車。 電車の端の席で仕切り板に寄りかかるように眠っているひとつの肉塊がある。 まだ26歳くらいだろうか。顔には幼さが残る。髪は直毛で全体にボサボサと広がり、眼鏡をかけている。心底安心し切ったよ…
こんばんは。お元気ですか。ぼくはとっても元気です。 きょうはお酒をたくさん飲んで、30分で家に着けるはずが電車を寝過ごしては乗り換え、寝過ごしては乗り換え、を繰り返し、家に着くまでに1時間以上かかった。 酔うと眠くなるから、電車で座ってはいけな…
前の座席に座るこどもが、窓外のホテルが目に入るたび、「ほてるー、ほてるー」と言う。斜めに反射した光がこどものやけに白っぽい顔を窓に映し、私の座る席からもその男の子が窓外をみつめる顔がみえる。 新幹線の窓からは、様々なものが流れていくのがみえ…
高熱をだしてしまったため予定していた三連休の飲み会すべてに不参加となり申した。高熱をだしてしまったため若干頭がらりり申しあげている。らりり申しているついでに新年早々に金原ひとみのらりり小説『AMEBIC』(アミービック)を読んだ。熱で外出できな…