2019-01-01から1年間の記事一覧

親指を齧って / 幾許

親指を齧って 苦い恋をして ささくれた薬指 連絡をたまにしか取らないのは 興味がないからじゃないけど フィクションしか話さないあの人 フィクションしか書かない私 一緒に入ったトンネル 途中で絡み付いた肌 遠くに乾いた光が見えた もう一度会うのなら 遊…

紫陽花なんて

6月某日 夏の盛りに蝉が鳴くような音を立てて雨が打ち付けている。傘に、建物に、コンクリートに。植込みに咲く紫陽花は、どれだけ強く雨粒が打ち付けようと、その青い身体を地面に投げ出さずにいる。 駅のホームから身を投げてしまった男のことを思う。彼に…

顔 (Stigma)

女が成功しているだけで枕営業って言われるこの時代、社会的な肩書、経歴、名前、総てどうでもいい、無知は罪、表面だけをなぞって理解した心算か、裁判官ごっこしている奴らの美醜を、 俺が判断してやろうか、 かまととぶってら、自覚した瞬間に損なわれる…

人生を食べる男

東京駅で新幹線を降りたとき、夕方に半分めくれた空の、ひいやりと湿った空気は茂みの奥に立ち入ったような気配、いつかの花火の記憶、少し汗ばんだ肌に触れる初夏そのものの匂いでした。 あなたと初めて逢った日の夜、道沿いに咲いていた、凛と立ったたくさ…

CLEAN

謙遜なんて阿呆でもできる 愛の意味とか考えてる意味ない うるさいうるさい 格好いい自分で生きていきたいだけ 神様お願い 言葉なんて口から零れたそばからイミテーション 本当のことだけ話したい 激しい打撃音 地を這うように続く 負けたくない 足枷になる…

若造

ぼろぼろだわ 人生って理不尽だわ くたびれた毛布にくるまった桜の花 風に吹かれて 人の形が崩れる あきあきだわ 人生って堂々巡りだわ わだかまる水の流れに花筏 風が吹きつけて 人の形に崩れる 泣き笑いですか 半笑いですか くたくたですか 人生に倦んでい…

食べたもの日記 ~その2~

3月29日(金) 朝食(買い物) ・サンドイッチのバラエティーセット(カツサンドとか) 昼食(社食) ・白米 ・鶏のから揚げ ・千切りキャベツ ・きんぴらごぼう ・お味噌汁 夕食(自宅) ・白米 ・納豆めかぶ豆腐 ・生牡蠣 ・雪うるい ・削り牛タン ・日本…

食べたもの日記 ~その1~

You are what you eat, I am what I eat. ティラミスばっかりひと月食べていたら、私はもうほとんどティラミスってことだよね。それってすごくない? て会社の同僚に言ったら、なに言ってんのこいつ的な目で見られました。 だけど本当にそう思うの。 立派な…

ドーナツ / FRESH!! / 夢で逢えたら

ドーナツ ドーナツの穴のなかには なにがあるの? 半分こしたらなくなって あまいあまいグラニュー糖 しろい口まわり あーあ 賢明な判断だわ バスロータリーでぐるぐる回って一回休み まぶた重いです ごしごし てるてる坊主ぶらさがってるの? 自転車置き場…

24 hours

2019/2/9(土) となりの気配で目が覚めたら、自分の両側にぴったり人がくっついていてびっくりした。シングルのマットレスに、三人で眠ったから、ぎゅうぎゅう詰め。すこし汗ばんでいて、ちょびっと気持ちがわるかった。「川の字になって寝ようよ」と酔った…

目印をつけて

ひとりでどこかに行きたい、と思い、家を出た。 海が見たい、夕陽を眺めたい、と思い、立石公園というところに訪れた。JRの逗子駅を降りて、そこからバスに乗って20分ほど揺られて辿り着く。バスはとても混んでいて、ぼくはその中で “デッドエンドの思い出” …