色恋沙汰

空は高く、夕立を携えた雲が走る

コンクリを打つ音、雨宿りする人々

ぼくらなら、間もなく止むだろうこと解りながら濡れて走るさ

 

 

緑のモミジが鮮やかに落ちた

夕立はあがって、蒸し暑い今日という日の暮れ

このまま繁らないとしても、一向に構わないさ

 

 

湖の水面を撫でる指

翳った心乾かすような、涼しい風と遠くに目を細めるあなた

木々の葉が西日にどよめいている

頬の熱に溶けてみたり、言の葉は通わないばかり

 

 

誰も知らない、噂も届かない場所

あなたの知らないぼく

知らない人のようなあなた

一度っきりの今日、二人っきりの夜

 

 

これは嘘から出た実、身から出た錆

揺れては責める度、眼差しは出合い

答えは此処にしか無いものだと判る

 

 

指先に、湿った頬の温度を残したまま

しどけない、夏が逝く