2022年4月30日(土)の日記(真夜中)

このあいだ友人の交際相手から、「アイルランドからのお土産です」とミニウイスキーをいただいた。ので、それをこんな夜中にハイボールにして飲んでいる。甘い香りのする、おいしいウイスキーだったけど、「ミニ」だからすぐ飲み終わっちゃった。

5/1に東京事変が『私生活 (新訳版)』を配信リリースしたので、それをイヤフォンで大音量で聴くのを肴にする。部屋の中でひとり、踊りだす。部屋にひとりでいるとき、音楽を聴いていると必ず踊りだしてしまうんだけど、これはぼくだけなんだろうか。結構激しめに踊る。誰かに見られるのは恥ずかしいから、誰にも見られないときに思いっきり激しめなステップを踏みながら踊る。イヤフォンってのは素晴らしい発明だ。夜中でも音楽を爆音で聴け、いつでも鼓膜直通なのだ。酔ったときにイヤフォンで音楽を聴くと、自分の体が消失して心に直接音の波動が伝わり、胸の奥がこそばゆいような感覚になります。前まで、「歌を歌詞抜きで音として聴く」ということの意味がわからなかったのだけど、東京事変の「音楽」というアルバムを聴いてからは音楽を音として聴くことができるようになった。『私生活 (新訳版)』気持ちよすぎます。

きょうはよく眠ったから肌の調子がよい。

 

仕事帰りの家路、夜の中濃く香ってくる甘い香りがあって、クチナシのにおいではなく、なんの匂いだろうとずっと思っていた。が、きのう昼間に外に出たときにその匂いのもとが判明した。「これだ!」と追い詰めた先にいたのは白く可愛らしい小さな花、花、花。ピンクのつぼみと、数多くの白い花。携帯で調べると、どうやら「ハゴロモジャスミン」という花のよう。夜になると香りを濃くする、だって。このあたりの家に、よく咲いている。

この花の香りを感じたのがひとりのときでよかった。誰か他人と感じてしまったら、いつでもその人を思い出してしまう。

 

 

飲み足りないので棚の上にあったジムビームを追加する。ソーダストリームにて炭酸を調達。まずい、永遠に飲めてしまうやーつー。

ふたをあけてしばらく経ったジムビームウイスキーは、いただいたティーリングウイスキーよりも断然おいしくない。とげとげした味がする。ポッカレモンを追加する。旨くない。永遠には飲めない。

 

 

6年前に書いた自分の文章が面白くて、「やるやん:悔しい」=「50:50」。負けないぞ、と思う。そもそも、6年前の自分といまの自分をくっつけるのってありですか? 6年前の自分が原稿用紙250枚分くらいやってるから、いまの自分がそこに合わせざるを得ない。そこまでいったんなら最後まで書けや、と思うが、完成させる能力がなかったのだといまならわかる。書いたものを直す、というのができなかった。だから完成度低いパートがいったん生まれると、そこに引きずられてぜんぶ面白くなくなって、「なんやつまらんやん」となって全部ほっぽり出したのだろう、と推測。待っててねぼくが完成させてあげる。完成させることは殺すことと似ている。

 

「歳をとる」と言うよりも「歳を重ねる」という表現の方がしっくりくる。いまの自分の中には当然、6年前の自分が生きているわけで、8年前の自分だって3秒前の自分だって20年前の自分だって生きているわけで、そう考えるならばいまの自分が一番美しいに決まってる。30年前の自分も? 親の細胞として? 138億年前の自分も? 宇宙の始まりとして? それより前の自分もかな。始まりはどこかな。自分は増えていく。新しい自分。新しい私たち。場面に応じてどの自分が出力されるか決定する/されるだけで、なるべく美しい年輪を創り出せるようにいまを美しく生きるんだぜ。ぜ?

得するか損するかで考えるならば、そりゃ損もするだろうが損は得ほどに意味がある。人生の酸っぱさも苦さも甘さと同じくらい価値がある。あれ、価値観の違いですかね。ね?

 

いまのあなたが一番美しい。

 

言いたいことまだ全然言い切れてない。国語の問題で、「作者の伝えたいことはなにか」って問題あったけど、いまもあるのか知らんけど、藝術作品において作者の伝えたいことなんてなくないですか? もしあったとして、それが藝術である以上作者の伝えたいことは二の次になる。だってもし誰かの伝えたいことが一意的に伝わる何かが存在したら、そんなのつまんない。解釈の余地こそ美しさ、解釈の余地とは命のディテールの違い、煌めき。それがないなんてつまんない。いや、つまんないか? 核心が伝わるならそれは愛か、幻か。

 

ハゴロモジャスミンの匂いをかぐことでいつかの自分が出力されました。

 

ぼくは作者が伝えたいことよりも、あなたがなにを感じたかの方が興味ある派です。作者が伝えたいこと知りたいなら作者に直接聞きます。もう作者が死んでたとしても、作品の中の作者と高次元ゾーンで直接会話します。だって話せるもん。ほんとだもん。トトロいるもん。

言いたいことまだ全然言い切れてない。ぼくって、ほんとに端的に表現するのが苦手で、いつだって冗長になってしまうから、だから長々と言葉を連ねるしかないんだ。ずばっと真ん中を貫ける言葉を最短距離で言えるとして、ぼくはそれを言うだろうか? 嘘も本当も口を閉じればおんなじになる。沈黙が一番の最短距離みたい。ぼくは黙っている。沈黙は金なり。

どんなに短い言葉だとして、それを呟いたとしたらそれは表現になり、十二分に誰かを殺す力を持つということに無自覚だったが、自覚があるかどうかは本人の問題でしかないので、だとしたら責任をとるために自分の信じる一等美しい創造物を追求するしかないのでした。

 

言いたいことまだ全然言い切れてない、って言ったまま人はみんな死んでいく。地球が滅亡するとしたら最後になに食べる? どうせそのご飯あなた人生の最後の日に食べられないと思うけど。より美しい人生を。

 

きのうはよく寝たから肌の調子がよかった。が、きょうはこんな時間まで起きていて肌の美しさを犠牲にしている。より美しい肌人生を。おやすみなさい。